独立しようと思った経緯(3)これまで考えてきたこと

中小企業診断士

自己紹介ページだけでは書ききれない、独立への経緯・想いを、「北海道への想い・前半」「北海道への想い・後半」「自分の人生」の3回に分けて書きます。

独立開業に際して考えたこと

 ここで書いていることは、副業や兼業で中小企業診断士の仕事をされている方を否定するような聞こえ方になるかもしれません。しかし、他人は他人、自分は自分という前提で書いています。

 私は、独立開業するか迷っていた頃「事業者の方が、私と本気で向き合ってくれる条件って何だろうか」とずっと考えていました。言い換えれば「自分のお客さまとwin-winで仕事をするための、私側の条件って何だろう」ということです。

 その一つが「事業者と同じように自分もリスクを取っている状態」ではないかと思いました。ニーズが一致すれば、私のバックボーンに関係なく、仕事の依頼は来ると思います。しかし、サラリーマンという安定的な給与がもらえて生活できる環境で、本気の事業者さんに自分が本気で向き合えるかと疑問に思ったのです。相手は、自分とその家族どころか従業員やその家族の生活まで背負っています。それなのに、自分がそういったリスクがないのは、アンフェアな気がしたのです。また、そこに甘えて、本気で向き合わないことがあったら嫌だなと、自分を追い込んでおきたいという気持ちもありました。

 「船は港にいれば安全だが、それでは船の用をなさない。」という言葉があります。

―When I’m at a harbor, the ship is safe, but then business of the ship isn’t accomplished.
(経済学者 ジョン・メイナード・ケインズ ※言い出しっぺは諸説あります)

 何度も言いますが、副業や兼業で中小企業診断士の事業をされている方を否定するつもりはありません

 法人に所属しているからこそ得られる人脈もあります。大企業や官公庁に務めていれば、実績に関係なく、その所属組織の肩書で、有名人や大手企業の偉い人に会えたり、異業種交流会のようなコミュニティにも関わっていけることは、とても魅力的です。実際、会社の肩書で覚えてもらうことは何度もありました。また、そこから交流が始まった方もたくさんいます。責任と権限があれば、予算だって使えるし、様々な人と組織を超えた関係を築くことだって可能です。

事業にビジョンやミッションは必要なのか

 私は、ミッション「北海道の付加価値を高め経済を盛り上げる。」というのは、成し遂げるぞと本気で思っています。事業者の方の課題解決を積み重ねていけば、微力ながら北海道の経済に貢献できます。ですから、成果として積み重ね続けていけば、大きな力になると思っています。

 ところで、全ての事業において、ビジョンやミッションが存在しているわけではありませんし、なければならない、というものでもありません。考えたり、客観的に見れば、それらは言語化できるのでしょうが、そのような概念や考えを言語化していなくたって、成り立つ事業、成り立っている事業はあります。

 そもそも、世の中に必要とされているならば、ビジョンやミッションが無くても、順調に事業遂行できるものです。それに、ビジョンやミッションがないから金融機関が融資をしないとか、信用情報で有利不利がクリティカルに出るとか、そういったこともありません。

 ビジョンやミッションがないと、事業者の方が課題を解決できないといったこともありません。事業を成長させたい!とか、新規事業の構想がいくつかあり何が一番良いだろうか、といった相談なら、ビジョンやミッションは必要かもしれません。しかし、そんな相談ばかりではありません。

「資金繰りを良くしたい」「採用したいが何も応募が来ない」「原価管理をやりたい」といった、目の前のことを何とかしたいといった相談のほうが、相対的に多い気がします。そこに、ビジョンやミッションといった概念を前面にだす必要はありません。正しい方法を実践してもらったり、テクニカルな対処を少しするだけで、スイーっと解決できることも多いです。

 ただ、事業が上手くいかないときや、課題が会社経営全般に影響するものであるときは、ビジョンやミッションの存在が重要になります。なぜかというと、ビジョンやミッションが「よりどころ」となって、進むべき方向の決め手となるからです。

 課題解決において、中小企業診断士の経営相談やコンサルティングを受けると、さまざまな選択肢を提示される場面があります。

 事業者が選択肢を絞るとき、最後の決め手になるのは「当事者の想い」です。やはり人間ですから、気乗りしないやり方では、前に進めません。なので、ビジョンやミッションといった形で、日頃大切にされている想いを言語化したほうが、事業環境が変化したとき、日頃大切にされている想いに立ち返って、すぐ行動に移せると考えています。

話は戻りまして、私は主に事業者の目の前の課題、少し先のあるべき姿を支援しております。これから、仕事の回数を重ねたり、(ありがたいことに)ご依頼が増えた場合、目の前の仕事で精いっぱいになり、自分が何をしたかったのか戸惑う局面が出るかもしれません。そうなったとき、お客様への提供価値に影響が出てはなりませんので、立ち返るべき原点というか、どういう想いで事業をしているのか自分自身で明確に意識づけしたいと考え、ビジョンを設けました。

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